いよいよ夏の陣、である。バラエティに富むラインナップとなった今クール、ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏はまず、2つの作品に着目した。
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7月クールの新ドラマが続々と始まっています。まず、フィクションならではのぶっ飛んだ設定で目を惹く作品が、小池栄子主演『わたし旦那をシェアしてた』(読売テレビ・日本テレビ系、木曜午後11時59分)。
物語は……天谷恭平(平山浩行)は一見すると優しそうなイケメン経営者。しかし、3人の女(小池栄子、りょう、岡本玲)それぞれと事実婚関係にあり、各家庭に出入りし子供もいて、女たちは「自分だけが彼に愛されている妻」だと信じている。ある時天谷が殺され、3人の女は互いの存在を知ることに。しかも「3億円の遺産を愛する一人の妻に譲渡する」という遺言が残されていて……。
一番愛されていたのは私ではないのか。3億円を手にするのは誰か。3人の女たちは激しくつばぜり合いを始める。と、まさか孫悟空の分身の術じゃあるまいし。
一人の男が時間差で各家庭に出入りし、夫として自然にふるまっていた……というあたりから荒唐無稽。まるで星座のような構図が作り物っぽい。けれど、ウソも徹底すれば突き抜ける。ドラマの夢世界へ視聴者をしっかりと連れ去ってくれるのであればOKです。リアリティを追求すべきポイントというのはまた別にあるはずだから。
このドラマで評価したいポイントは、3人の女のエッジの立て方にもあります。
小池栄子、りょう、岡本玲──タイプがまったく違う女優たち。年齢もバラバラなら、人物設定としても明るくて仕事もデキるキャリアウーマン、大人びた色気を漂わすトレーナー、健康的な若さと優しさが光る保育士と、見事なまでに3人の違いをきっちりと際立てています。
となれば、ゲーム感覚で思い切り3キャラのゆくえを観察しようじゃないか。そういう気にさせてくれる。「知らずに旦那をシェアしていた」ハズないじゃん!というムチャな「謎」について、謎解きのプロセスを存分に楽しませてほしい。