北朝鮮の唯一の航空会社である国営の高麗航空が7月から首都・平壌と中国の大連、西安、成都をそれぞれ結ぶ3路線で直行便を就航させることが分かった。高麗航空はすでに平壌と上海、瀋陽を結ぶ定期便を就航させているが、新たに中国3都市との航空便の新設は北朝鮮を訪れる中国人観光客の増加に対応するためだ。
この背景には北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が中国を4回訪れているのに加え、習近平中国国家主席が6月に平壌を訪問するなど中朝両国の蜜月関係がある。中国国営新華社通信が伝えた。
平壌・大連間の直行便(往復)は7月19日から就航し、8月18日までの1カ月間は毎週火曜日と金曜日の週2便だが、8月19日以降は月、水、木、土の毎週4便と増便する。
また、これに先立って、すでに7月初旬から毎週月曜日と金曜日の週2回、平壌と西安、成都のそれぞれのチャーター便が運航している。このほかにも、平壌と中国河南省太原、吉林省延吉、山東省済南を結ぶ路線が近く開通するとの情報がある。
昨年3月の中朝首脳会談や昨年6月のシンガポールでの米朝首脳会談を契機に、中国人観光客の北朝鮮ツアーが盛況だ。陸路では中国遼寧省丹東からの北朝鮮ツアーに参加する中国人観光客は昨年1年間で、2011年の2倍以上の40万人に激増している。
北朝鮮への観光は国連安全保障理事会の制裁決議の対象外。北朝鮮は中国人観光客を当て込み、平壌や東部・元山(ウォンサン)などで観光振興に注力している。中国側には北朝鮮の外貨稼ぎを助ける思惑もあるとみられており、中国政府もツアー客の北朝鮮観光を後押しているようだ。