「読んでラクになった!」「モヤモヤが共有できて、猛烈に感動した」など話題を集めているコラムニストのジェーン・スーさんと脳科学者の中野信子さんの対談集『女に生まれてモヤってる!』。同書の中から一部を紹介。今回は、周りからバカだと思われても、自分でゴールを設定したら楽になった、という2人の体験談をお届けします。
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スー:「働きたくない」っていう人いるでしょ、男女問わず。なぜ働きたくないのか、いろんな理由があるよね。今の仕事が嫌なのか、生活の中で仕事のプライオリティ(優先順位)を上げたくないのか、労働と呼ばれるすべての行為が嫌なのか。どちらにせよ、どうすれば効率よく生きていけるか、それぞれ工夫の仕方が違うはずだと思うんだよね。
中野:私も働きたくないよ。
スー:あなた実はそうよね。世間からは仕事好きと思われているかもしれないけど、このお方はね、誰よりも効率よく働くんですよ。
中野:普段はゾンビみたいな人間だから(笑)。最小の努力で、吊し上げに合わないように、働いているように見せかけている的な。
スー:そういうとこ、天才だよね。どうしたらミニマム労働で自分を満たせるか、かなり考えてる。テレビだって、自己顕示欲から出ているわけじゃないでしょう。まるで水面から鼻だけちょっと出してるワニだね。身の危険を感じたら、シュッと水に潜る。
中野:よく見抜きましたね(笑)。みんな水の外に出たがるんだけど、出ちゃったらそんなのひからびて死んじゃうかもしれないじゃないですか? 超低空飛行ですから、私。
スー:働きたくない気持ちを丁寧に分解して工夫した結果、このスタイルが編み出されたの?
中野:もちろん、私なりに工夫はしていて「これを残せばゴール」みたいな戒めのラインが自分の中にきちんとあるのよ。そこはなるべく破らないようにはしつつ、最小限の労力でこなしていきたい。いうなればナマコですね。ナマコってめちゃくちゃ代謝が低いのね。で、最小限しか動かないから、敵に襲われるリスクも低い。素晴らしい生態じゃないですか。「私、これだわ」って思ったよ。