2009年に亡くなった大女優の大原麗子さん(享年62)と、1989年に惜しまれながらこの世を去った国民的歌手・美空ひばりさん(享年52)。2人は姉妹のように親しくつきあっていたが、その交遊について語られることはなかった。大原さんにとってひばりさんが「姉」だったように、ひばりさんにとっても大原さんは大切な「妹」であり、心の支えだった。1961年から1989年までひばりさんの付き人をつとめ、5月にひばりさんとの思い出を綴った『お嬢さんと私』(主婦と生活社)を上梓した関口範子さん(79)が証言する。
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ふたりはよくショッピングに行っていまして、ある日、鳥の置物をいくつか買ってきたことがあったんです。ひとつは親鳥と小鳥で一対になったもので、「親鳥は姉さんで、小鳥は私なのよ」って、麗子さんが嬉しそうに見せてくれました。
もうひとつはペアの鳥の置物で、それぞれ家に飾っていたんですが、ひばりさんが亡くなった後、「(2羽を)一緒にしてあげたい」って麗子さんがおっしゃったので、差し上げました。
〈大原は、女優業の合間を縫って、ひばりのために“歌唱練習”までこなしていたという。〉
麗子さんは「ひばりさんの歌を覚えるの」と一生懸命練習していらして、カラオケの十八番は、ひばりさんの代表曲『長崎の蝶々さん』。石井ふく子先生のお誕生会とか、なにかというとその曲を披露してくださるんです。私も聞きましたが、本当にお上手でした。
ひばりさんが病に倒れた際は、何度もお見舞いに来てくださってね……。わざわざ福岡の病院にも来ていだだいて、あの時はひばりさんも感激していました。
ひばりさんにとって、麗子さんの存在は、闘病生活だけでなく、人生そのものの支えでもありました。
●取材/宇都宮直子、大屋敷未世子
※週刊ポスト2019年7月19・26日号