国内

【著者に訊け】望月記者が安倍首相の生い立ちや歴史観を分析

『「安倍晋三」大研究』を上梓した望月さん(撮影/佐々木芳郎)

【著者に訊け】望月衣塑子さん/『「安倍晋三」大研究』/KKベストセラーズ/1620円

【本の内容】
望月さんと写真家・編集者の佐々木芳郎さんがタッグを組み、今年11月に首相在職期間が憲政史上最長にならんとする安倍晋三氏を様々な角度から分析する。ぼうごなつこさんによる伝記まんが、父・晋太郎氏の元番記者で、安倍首相の乳母も取材した政治ジャーナリストの野上忠興さんや、思想家・内田樹さんとの対談など盛りだくさん。安倍首相の「嘘」と「強さ」の理由が明らかになる。

 望月さんと言えば内閣官房長官記者会見での菅氏とのバトルが有名だが、参院選を前に、政治家安倍晋三とは何者かを探る本が出た。特別取材班との共著で、誕生から第一次内閣辞任までをたどったまんがや、争点をずらす「安倍話法」の考察、安倍氏をよく知る人々のインタビューなどが収録されている。

「まんがを読んで安倍さんにどんな印象を抱くかは人それぞれだと思いますが、小さいときから政治家になる意志を持っていて、あとはやっぱり、憲法改正など、おじいさんの岸信介の影響は大きいですね。逆に、父(安倍晋太郎)の影響はほとんど感じられません」

 安倍政権の官僚評価を思想家の内田樹氏が「安倍マイレージ・システム」と呼ぶのが秀逸だ。現内閣は官僚の信賞必罰が徹底しており、「この査定システムの異常なほどの単純さが官僚たちには好感されている」と内田氏は語っている。

「政治家でも、自分を裏切ったり反旗を翻したりした人のことはいつまでも忘れない。逆に、自分を慕う人の面倒は見る。メディアに対しても、これまでの首相は公平に取材に応じましたが、安倍さんは特定の新聞、テレビの単独取材にだけ応じてメディアをはっきり選別しています」

 新聞労連が官邸記者を対象にしたアンケートでは、質問が長い、パフォーマンスであるといった望月記者への批判もある一方、官邸とつながっている社があり身動きがとれない、といった閉塞感を訴える回答も寄せられたという。

「本当はみんな聞くべきことを聞きたい。でも安倍政権の6年の間に、メディアが萎縮する重苦しい雰囲気が作られてしまった」

 取材場所には、キャリーケースを引いて現れた。「出張ですか?」と聞くと、「出張じゃないです。パソコンと資料が重くて、毎日これ。重宝なのに、こういう使い方する人あんまりいませんね(笑い)」。

 東京地検特捜部担当のときは、会社の車に蒲団と枕を置き、車中で仮眠をとっていたそう。取材以外に講演などもこなし、多忙でストレスの多い日々が続くが、「女性週刊誌の皇室記事は読まれるんですか? 読者の男性の割合は?」と、取材中にも逆質問を編集者にぶつける根っからの取材者だった。

※女性セブン2019年8月1日号

関連記事

トピックス

第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
(撮影/田中麻以)
【高市早苗氏独占インタビュー】今だから明かせる自民党総裁選挙の裏側「ある派閥では決選投票で『男に入れろ』という指令が出ていたと聞いた」
週刊ポスト
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン