注文していない品物が送りつけられる詐欺といえば、高級海産物を送りつける「カニカニ詐欺」が知られているが、いま広まっている「Amazonから注文していない代引き荷物が届いた」という話は品目もバラバラで、目的がはっきりしないのが特徴だ。なぜこのようなことが起きるのだろうか。SNSやネットサービスの最新事情と犯罪被害に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、Amazonで多発している代引き詐欺について解説する。
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いつも購入しているAmazonからの荷物だと思うと、つい油断してしまう人は多い。ある主婦は、「家族の荷物と思い支払いをして受け取ってから、違うと気づいた。返金手続きが大変だった」と代引き詐欺に遭ったときのことを振り返る。数千円程度の代引きと聞くと、警戒もせずに支払ってしまうことが多いのも、詐欺に引っかかりやすい原因らしい。
うっかり支払ってしまった人の多くは、「(注文時に)支払い方法を間違えたのかと思って」「家族が代引きにしたのかと思って」払ってしまっている。先程の主婦の例のように、同居している家族の注文だと思って気を利かせ、支払ってしまった例は少なくない。
支払う前に気づいた人も、住所や名前は合っているので、ひょっとしたら「間違えて注文したのかも」と自分がミスをしたといったんは考えるようだ。その後、自分のAmazonアカウントから注文履歴を確認し、実際には何も注文していないことを確認してやっと詐欺の可能性に思い至るのだという。「ただし、(伝票の)電話番号はよく見たら間違っていた」という。
多い人になると、「一週間で10件くらいの覚えがない荷物が届いている。ひたすら受取拒否をしているが、そのやりとりを重ねるだけでも消耗するし、知らない人に住所や名前を知られていると思うと精神的に疲弊する。靴の中敷き、ゴミ箱、スマートスピーカーと、きたものはバラバラ」。Twitterでも「#代引き詐欺」「#送りつけ詐欺」などのハッシュタグで検索すると、同様の被害が多数見つかる状態だ。
◆ギフト設定で誰にでも送りつけ可能に
なぜこのようなことが起きるのか。実は、Amazonではギフト設定でお届先住所を入力すれば、誰にでも商品を送ることができる機能がある。送りつける相手のアカウントをハッキングする必要はなく、その住所や名前を入力するだけで送りつけられるので、自営業者などで住所を公開している場合は簡単に送りつけられてしまう可能性がある。その際、支払い方法を「代金引換」にして送れるところがミソだ。