YouTube向け動画といえば、テレビでおなじみの芸能人となっても、大きくはっきりした声で、画面の向こうに個人的に語りかけるような話し方が共通する特徴として定着しつつある。そんな風潮はどこ吹く風、スピードワゴン・小沢一敬は独自路線でYouTube動画配信を続けている。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、YouTuberになってもナルシスト路線を変えない小沢(45歳)の面白さについて考えた。
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先日、キングコング・梶原雄太のYouTubeチャンネルの登録者数が100万人を超えた。開設する際に掲げた「2019年末まで登録者数100万人いかなければ芸人引退」を回避した結果となった。家族、芸人仲間と使えるものは全て使い尽くす。出し惜しみをしない梶原の奮闘っぷりが評価につながった。
梶原の成功によって、タレントとYouTuberを兼任する人が増えている。自らのキャラクターを売ることが生業、その点で両者に差はない。「YouTuberと自分を比べて、自身の面白さを再確認する」と話す芸人もいたが、今となっては芸人仲間もYouTuber。数年後には自らのチャンネルを持ち、タレントとYouTuberの二刀流がスタンダードとなっている可能性が高い。
折角、YouTuberデビューするならばテレビと違う動画を届けて欲しい。当初、梶原は「テレビではできないことをしますよ!」と宣言していた。しかし、現状では吉本芸人を呼んでの対談がメインディッシュ。梶原とゲストによる長尺のトーク、確かにテレビでは不可能である。ただ、ここで指す”不可能”とは内容のことではない。放送枠がないからできないだけ、やっていることはトーク番組と変わりない。YouTube動画だからと言って、明かされる秘話もない。あくまでテレビサイズの対談に収まっている。
対して、独力でテレビでできないことに挑んでいるのがオリエンタルラジオ・中田敦彦だ。「YouTube大学」と称し、歴史、古典文学、偉人伝をレクチャーしている。学力とお笑い、自らのスキルをフル活用した”過激な放送大学”とも例えたくなる動画を制作。YouTubeの小さな画面との相性も良く、テレビよりも進化したコンテンツを量産している。
人気芸人兼YouTuberといえば上記の2名である。しかし半年前、ひっそりとYouTuberデビューを飾った人気芸人がいる。みなさん、ご存知だろうか。
「君が出てこない夢は全部悪夢さっ」
「僕らの世代でTHE BLUE HEARTSとダウンタウンの影響を受けてない人はいない」
「漫才ってさ、ジャズなんだよね」
“あま~い”セリフで人気を集め、音楽を誰よりも愛しているのに歌がヘタ、独特の世界観から変人と呼ばれるスピードワゴン・小沢一敬である。概要欄には「新しい遊び場 みんなで一緒に遊びましょう」。キザな文言からわかるように、小沢らしいキザな動画を配信している。
梶原、中田と比べて小沢のチャンネルは異質だ。「YouTubeで稼ぎたい」といった素ぶりが全くないのだ。新作動画を公開するたびにツイッターで宣伝する2人(当たり前である)。続けて、小沢のツイートをチェックすれば、自撮りとSKE48の須田亜香里の顔面アップの写真が多い。動画の宣伝が埋もれていた。