東京都が主体となったオリンピックの会場整備に暗雲が立ち込めている。ボート・カヌー会場の「海の森水上競技場」など完成した施設もある一方、数々のトラブルにも直面。昨年秋に発覚した免震装置メーカーによる検査データ改ざん問題では、「東京アクアティクスセンター」の装置を交換する事態にまで発展した。
また、「有明テニスの森」の一部工事などを受注していた業者が経営破綻。完成予定が8か月遅れて来年3月にずれ込んでいる。「カヌー・スラロームセンター」の選手控室も、完成が12月に延びた。
7月3日に行なわれたメディア向けの公開ツアーでは、こんなハプニングも発生している。当日はバレーボール会場「有明アリーナ」など4施設が見学できるとあって、国内外から取材陣が集まった。だが工事現場の調整が間に合わず、敷地外から施設を眺めるだけで、不満の声が噴出した。建築アナリストの森山高至氏が言う。
「開会式まであと1年だが、未完成の会場も多い。見学者を入れるために工事を一時中断する余裕すらないのでしょう」
令和の歴史にその名を刻むスポーツの祭典。万全の態勢で世界のアスリートを迎えられるのか。
◆撮影/小倉雄一郎
※週刊ポスト2019年8月2日号