「北朝鮮と一つになれば日本に勝てる」──反日姿勢を強める一方で親北政策に邁進する韓国・文在寅大統領の狙いは、そこにあるのかもしれない。だが、実際の「統一朝鮮」の実力となると、未知数だ。統一朝鮮の国力は、日本を凌ぐのか――イデオロギーや感情を超えて、3国の数字を冷静に比較した。
フッ化水素、レジスト、エッチングガスという3品目をめぐる一連の輸出規制問題で明らかになったのは、韓国経済が「日本抜き」では成り立たないという現実だ。それでも文在寅大統領は、日本に対して強気の姿勢を崩さない。
「北朝鮮との融和政策を推し進める文在寅政権は、“南北が統一すれば、日本になど負けない”という思いが強い。南北統一を果たした偉大な大統領という名声、そして日本を凌駕した朝鮮民族国家を作るという野望を抱いている」(元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏)
仮に南北統一が実現した場合、その国力は日本を上回るのか。政治経済の分野について日本、韓国、北朝鮮の実力を徹底比較した。
文大統領は、就任以来、韓国の経済成長を盛んにアピールしてきた。今年1月には韓国銀行が1人当たりのGNI(国民所得)が3万1000ドルに達したと発表。「人口5000万人以上の国で3万ドルを超えたのは世界で7番目」というコメントも添えられていた。
しかし、韓国のGNIが2万ドルを超えたのは2006年で、3万ドル達成までにかかった年月は実に12年。2万ドルから3万ドル到達までの期間は、他国の場合平均9年、日本は5年で達成している。