近年は“こんまり”ブームなどを経て、「断捨離」「ミニマリスト」などが市民権を得ている。きちんと整頓された部屋は気持ちがよく、さぞや勉強がはかどるかと思いきや、実際はそうでもないようだ。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表で塾ソムリエの西村則康さんが言う。
「大人にとって快適な家と、子供にとってのそれはまったく違う。整頓されすぎて、“見る”“触る”など五感を刺激しない家は、知的好奇心が育ちにくいのです。もちろんゴミ屋敷のレベルはいけませんが、多少雑多な方が、子供は新鮮なひらめきをしやすい。特に自由研究が緻密で面白い子はある程度散らかっている家に住んでいるパターンが多いように思います。がらくた入れの中を見て、例えばかまぼこの板から船を作ろうなどと考え始める、といった思考の手助けをしてくれる」
整頓されていることが必ずしも成績向上につながるとは限らないのは、ノートやかばんの中も同じだ。
大手進学塾「市進学院」ウイングキッズ指導室室長の飯嶋洋平さんが続ける。
「色とりどりのペンを使ってまるで“作品”のようなノートを作り上げる生徒もいるが、成績に反映されない。丁寧でなくても、後から見返してきちんと理解できるように書いている子は計画性があるから伸びる。
かばんの中身も同様で、親がお膳立てしてきれいに整っている子は何がいつ必要になるのか自分で判断できない。親はお子さんが自分で荷物の用意ができるように手助けをしてあげるのが重要です」
※女性セブン2019年8月1日号