河童やぬらりひょんといったおなじみのものから、都市伝説化している小さいおじさんまで、ちょっとはた迷惑な、それでいてどこか憎めない妖怪の数々を紹介した『クセがつよい妖怪事典』。上梓した左古文男氏が妖怪に興味を持ったのは、子どもの頃の体験がきっかけだという。
「実は小学生のときに、河童の仲間といわれる『ひょうすべ』を見ました。真っ黒で背は低く、毛むくじゃらでした。ゾッとするほど怖くて、逃げ出しました」
妖怪を見たという人は、意外と少なくない。何かの波長が合ったり、妖怪からメッセージがあったりすると見えるのかもしれないと左古氏は推測している。
「現代は街中が常に明るいから、妖怪が見えづらい。でも、人が気に留めないような場所や闇の中に、妖怪たちが今も蠢いているんだと信じています」
よく目をこらせば、彼らのような奇妙な妖怪たちを目撃することができるかもしれない。
■取材・文:上田千春 ■画:左古文男
※週刊ポスト2019年8月2日号