7月5日、ソウル市内の旧日本大使館前で、日本製品の不買を訴えるデモが行なわれた。日本政府が対韓輸出の管理強化を実施した7月4日以降、韓国内では反日感情が高まり、韓国の世論調査では、日本製品の不買運動に「現在参加している」との回答が48%に達した。
だが現実には、「メイドインジャパン」は、韓国人の生活とは切っても切り離せないが、日本製と知らないまま韓国人が愛用しているケースもある。
「韓国でも人気のスポーツウェアのデサントは、これまで日本のメーカーと知られていませんでした。昨年末に経営をめぐって筆頭株主の伊藤忠商事と対立したニュースが韓国でも話題になり、初めて日本企業と知った韓国人が多いんです。すると途端に手のひらを返して、デサントを不買運動リストに追加するのもいかにも韓国人らしいところです」(元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏)
シェアが圧倒的なため、実質的にボイコットができないのは日本製カメラだ。
2017年にサムスンがカメラ事業から撤退した後、韓国にはカメラメーカーがなくなり、キヤノン、ニコン、オリンパスといった日本メーカーが国内シェアの実に70%を超える。
「不買運動に血眼になる韓国人もカメラについてはスルーしています。2018年4月に板門店で史上初の南北首脳会談が開かれた際、文在寅大統領と金正恩委員長を撮影した韓国人と北朝鮮のスタッフはいずれもキヤノンのカメラを使っていましたが、とがめる声は韓国では出なかった。今回も不買運動の様子を韓国人が日本製のカメラでパシャリと撮るシーンがよく見られます」(韓国人ジャーナリスト)