横綱・鶴竜の7場所ぶりの優勝で幕を閉じた大相撲名古屋場所は、11日目から高安が休場し、貴景勝、栃ノ心、豪栄道の4大関全員が休場する事態となった。
「カド番だった貴景勝は大関陥落が決まった。来場所での大関復帰には10勝が必要だが、ガチンコ力士が上位にひしめき、厳しい戦いとなる。来場所がカド番の栃ノ心、豪栄道もケガの容態や年齢を考えると万全の状態で本場所を迎えるのは難しいだろう」(若手親方)
次の秋場所で栃ノ心、豪栄道の大関陥落となれば、名古屋場所で休場前に辛うじて8勝目をあげていた高安の“一人大関”となる。その場合、九州場所では「横綱大関」という見慣れない称号が登場することになる。
「江戸時代に横綱が名誉称号で、大関が最高位だった名残で、番付表には大関、関脇、小結の三役を揃える決まりがある。大関が不在になったら、横綱が大関の地位も兼ねる『横綱大関』が置かれるのです。高安が一人大関になった場合、西の大関が空位となるので、その時に西の横綱にいる白鵬か鶴竜が『横綱大関』となるわけです。実現したら1982年1月場所で琴風(現・尾車親方)が一人大関だった時以来、約40年ぶりの珍事です」(ベテラン記者)
しかも、大関に残る高安の先行きも明るくない。名古屋場所で休場の原因となったケガは、部屋の先輩の稀勢の里(現・荒磯親方)と同じ上腕二頭筋の損傷。
「ケガで輝きを失った稀勢の里同様、高安も苦しむことになる。高安まで陥落したら、15日制が確立してから大相撲の歴史で1981年9月場所の1場所しかなかった『大関不在』で『2人横綱大関』という事態になる」
誰も星勘定ができず、上位にガチンコが揃っている証拠ともいえるが、果たしてどうなるか……。
※週刊ポスト2019年8月9日号