ハンバーガーチェーンとしてマクドナルドに次ぐ店舗数を誇るのがモスバーガーだ。1972年の創業以来、国産素材にこだわり「日本発」の高級ハンバーガーとしてファンを獲得してきたが、ここ数年は苦戦を強いられている。ジャーナリストの河野圭祐氏が、モスフードサービス創業家出身の櫻田厚会長に、今後の反転攻勢を訊いた。
──令和の時代になりましたが、平成元年(1989年)は何をされていましたか。
櫻田:1972年に叔父(創業者・櫻田慧氏)の誘いでモスバーガーの創業に参画してから、直営店勤務を経て、平成元年当時は教育・営業部門を中心に担当する直営部長という役職だったと思います。
私にとって転機となったのは、その翌年(1990年)に海外事業部長として台湾へ赴任したこと。これがモスバーガーの海外展開の足がかりになりました。
恥ずかしながら、台湾に行くまでは日本と台湾の関係、中国と台湾の関係を歴史的に考えたことはほとんどありませんでした。しかし台湾でビジネスを始めて、「アジアの中での日本」について意識するようになった。それまでの自分の無知を恥じましたね。
ですが、その経験がモスバーガーを「日本発のハンバーガー」として海外に広め、評価して頂くにはどうすればいいかを見つめ直すことに繋がりました。それから30年余りが経ち、海外店舗数はアジアを中心に377店にまで拡大することができました(6月末現在、以下同)。「モスバーガー」「テリヤキバーガー」「テリヤキチキンバーガー」がモスの3トップですが、海外のお客様には日本のモスならではの「モスライスバーガー」も人気です。