年を重ねると、体形が変わったり体が思うように動かなかったりして、“服を着る”ことが大変になる。しかし、「ファッションは人を前向きにする力がある」と語るのは、着脱しやすいおしゃれな服を提供する愛知県発のブランド『キアレッタ』主宰の前野いずみさん。
どんなに年を取っても、普段、服に関心がなさそうにしている人も、新しい服を手にするとみんな顔がほころび、心が躍っているのがわかると言う前野さん。 ぜひ母娘で、ファッションを楽しんでほしいという。
「多くの高齢者は、やはり無難なデザインや地味な色合いを選びがち。色は着る人の気分にも影響しますから、明るい色や華やかな柄にもチャレンジしてみてください。ベースが地味な色でも、たとえば明るい色柄のスカーフを顔回りに取り入れればおしゃれで顔色もよく見えます。 また胸元にフリルやレースなどの装飾があると表情が華やいで見え、年齢が出やすい首元もカバーできます」(前野さん・以下同)
ところで『キアレッタ』は体の不自由な部分に合わせたオーダーメードではなく、あくまで既製品として販売することにこだわっている。
「既製品を手に取って鏡の前で当てて見たり、それを着た自分を想像してみたりして、“選ぶ”楽しさもファッションの大切な要素なのです。“明日、何を着ようかな”というワクワク感、“その服いいね、どこで買ったの?”と弾む会話、ほめられる喜びもファッションの醍醐味。
若い人にはもちろんですが、年を重ね、衰えに抗いながら頑張っておられる高齢のかたがたにこそ享受していただきたいと思っています」
※女性セブン2019年8月8日号