夏休みに入ってはや2週間。パートに家事にと忙しいお母さんにとって、宿題もせずゲーム三昧、片付けたそばからまた散らかしていく子供にイライラは募るばかり。おまけに夜になれば、帰ってくるなりふんぞり返る夫に、つい怒りを爆発させたくもなる。
だが、頭ごなしに怒っても状況は悪化するだけ。せっかく家族が一緒にいられる時間が長いからこそ、衝突を避けて、できるだけにこやかに過ごしたい。それにはどう接すればよいのだろうか。
「人は、つい怒った時、口にしてしまう“NGワード”があります。その言葉を避けて話せば、無用な争いを生まずに済みます」
そう話すのは、日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さん。以下、衝突の発端となる言葉を紹介していこう。
◆「前もそうだったけど」「この前の言ったよね」
まず、筆頭に挙げられるのが、「過去を持ち出す言葉」だ。外から帰った子供が脱ぎ散らかした服を拾い集めながら、「洗い物は洗濯かご! 何回言わせるの!!」と怒る母親の姿は、どこの家庭でも見られる風景だ。
「『何回も』『以前にも』という言葉は、怒る側が“自分がいかに正しいか”を強調する言葉でしかありません。
怒る方は目の前の出来事と過去の出来事がつながって頭に思い浮かんでいたとしても、怒られている方は、なぜ過去のことまで持ち出されて叱られているのかわかりません。“今さらなぜ?”と不信感を持たせるだけです」(安藤さん)
日本ほめる達人協会理事長の西村貴好さんも同じ意見だ。
「自分の正しさを強調しようとすると、『質問』ではなく『詰問』になりがちです。相手に対して要求があるなら、あとから蒸し返して言うのではなく、“脱いだらきちんとかごに入れてほしい”と、その時、その場で冷静にリクエストしましょう」
◆「いつもそうだよね」
「いつも」「絶対」「必ず」などの「決めつけ言葉」も、自分の正しさを強調する言葉だと安藤さんは言う。
「たとえば“いつも散らかしっぱなし”と言うけれど、本当にいつもというわけではないでしょうし、“この前は片付けたのに”と反感を招きかねません。怒られる方は“この人は自分のことを見てくれてない”“自分は評価されていない”と感じてしまいます。
怒りを上手に伝えるには、『私』を主語にして相手に伝えること。“あなたはいつもこうなのよ”ではなく、“私はこうしてくれないと困る”と伝えることが有効です」(安藤さん)
※女性セブン2019年8月15日号