安倍首相が改憲議論を進めることを全面に押し立てて解散・総選挙に踏み切る──官邸内ではそんな「11月解散」「12月総選挙」のシナリオが練られている。
参院選の得票をベースに、立憲民主、国民民主、共産、れいわ新選組の野党がバラバラに候補を立てて選挙に突入した場合の各党の小選挙区と比例代表の合計獲得議席を本誌が独自にシミュレーションした。
結果は、勢いのあるれいわ新選組が一挙に10議席確保の可能性がある一方で、野党第一党の立憲民主は53議席前後にとどまり、離党者が相次ぐ野党第2党の国民民主はさらに減らして22議席前後、共産党は微増の13議席、野田佳彦元総理ら選挙に強い議員が多い社会保障国民会議も5議席確保がやっとで、野党勢力はほぼ壊滅状態に陥る可能性が高い。野党では唯一、統一地方選と参院選で地元・大阪での圧倒的支持を見せつけた日本維新の会が近畿ブロックを中心に16議席前後に議席を伸ばしそうだ。
対して、野党の共食いで“漁夫の利”を得るのが自民党だ。単独で衆院の3分の2を超える316議席前後を獲得する可能性が高い。一方、公明党も長期低落傾向に歯止めがかからない。参院の比例票は前回(2016年参院選)の757万票から今回は653万票へと100万票以上減らしており、集票力の低下は著しい。
それでも総崩れの野党に比べると固い支持基盤に支えられて議席数はやや減の27議席に踏みとどまる。選挙情勢分析に定評がある政治ジャーナリストの野上忠興氏が指摘する。