プロ野球のペナントレース、セ・リーグ2位・DeNAが首位・巨人を猛追している。8月2日からの首位攻防で3連勝を飾り、0.5ゲーム差まで詰め寄った(記録は8月5日現在。以下同)。DeNAは4月には10連敗を喫したものの、5月に1番・神里和毅を定着させてから、チームは上昇気流に乗った。野球担当記者が話す。
「神里は、守備面では時折不安もありますが、俊足巧打の1番打者としてチームを牽引しているのは間違いないでしょう。その影に隠れてしまったのが、5年前の盗塁王であり、2年前の日本シリーズ出場時も主力だった梶谷隆幸です」(以下同)
梶谷は昨年8月、右手首付近に死球を受けて尺骨を骨折。それに加えて、右肩のクリーニング手術を受けるなどして、昨季の終盤は棒に振った。
今季は開幕3連戦でスタメンに名を連ねたものの、4月8日に二軍落ち。約2週間で1軍復帰するも、代打で7打席連続ノーヒット、スタメンに起用された試合でも結果を残せず、5月6日再びファームへ。以降は一軍に呼ばれていない。今季のヒットは開幕3戦目に放った1本のみだ。
「代打タイプではなく、守備も走塁でも魅せられるスタメンで輝く選手。しかし、DeNAの外野の競争は激しい。梶谷の定位置だったライトには現在本塁打、打点の2冠王を巨人の坂本勇人と争っているネフタリ・ソトが座っており、控えの外野手も代打の切り札である佐野恵太を筆頭に、乙坂智、関根大気と、梶谷と同じ左打者ばかり。右の外野で、2年前フル出場した桑原将志、3年目でパンチ力のある細川成也も二軍に甘んじているほどで、梶谷は厳しい状況に立たされている」
今季はこのまま、梶谷の出番がないまま終わるのか。
「今月、31歳を迎える梶谷はまだまだ老け込む年齢ではない。2年前、クライマックスシリーズを勝ち上がり、日本シリーズに進出した際の主力であり、経験もある。仮に神里が不調に陥った場合、そこに取って代わることのできる選手ですし、試合終盤の代走という起用法もあると思います。DeNAの盗塁数は30と12球団で最も少ない。ラミレス監督があまり盗塁に積極的ではないのも大きな要因ですが、ラミレス体制になってからも、梶谷は2016年に26盗塁、17年に21盗塁を決めている。梶谷の出番は必ず来るはずです」
中畑清前監督が見出し、トリプルスリーの期待をされたほど潜在能力の高い男の復活が、DeNA躍進の鍵を握っているかもしれない。