食の安全に注目が集まって久しいが、添加物に関連し、実のところ、「保存料不使用」を売り文句にしている食品ほど、実は多種多様な添加物が使われている恐れがある。
冷凍食品のように、そもそも保存料の必要がない商品であっても、「保存料不使用」と大きく表示していることがある。そうした商品はなぜ増えているのだろうか。食品ジャーナリストの郡司和夫さんはこう言う。
「冷凍食品は、マイナス18℃以下で保存するため微生物が活動できず、そのおかげで長期保存できるという食品です。保存料がいらないのは当たり前。それなのに、あえて『保存料不使用』と書くのは、消費者の注意をそらせるためでしょう。日本では保存料さえ避ければ心配ないと思っている人が多く、乳化剤、リン酸塩、発色剤(亜硝酸塩)、増粘多糖類、化学調味料、着色料など、それ以外の危険な添加物への危機感が低い」
現在、日本で使用されている添加物は安全が保障された範囲で使われているので、食べても安心・安全というのが一般的な考えだ。しかし、添加物には、まだわからないことが多く、後々になって手のひらを返すことは少なくない。
加工食品診断士協定・代表理事の安部司さんは解説する。
「車の不凍液に使われる『プロピレングリコール』という物質は、中華麺に練り込むと乾燥やカビの発生防止になるため現在も使用されていますが、ある日突然、使用基準量が設定されたことがありました。
それほど、食品添加物の安全性は曖昧。私は40年以上、加工食品を開発する仕事をしていましたが、“これは安全ですか?”と聞かれても、『今のところ明確な被害報告は出ていません』としか答えようがありません」
今日まで安全だったものが、明日は危険なものに様変わりする怖さが添加物にはある。「保存料は使っていません」の裏側で、大量の添加物が使われているという事実から目をそらしてはいけない。
※女性セブン2019年8月15日号