超難関中学に進学した女優・芦田愛菜(15)が読書愛を語る著書『まなの本棚』が、発売早々ベストセラーに。孫を本好きにしたいと願う祖父母世代が多く買い求めているというが、ではどんな本を孫に読ませればいいのか──。立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏(71)が勧めるのは、『エルマーのぼうけん』(ルース・スタイルス・ガネット著/渡辺茂男訳)だ。
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僕には孫が二人いるが、読ませたいと思ってプレゼントした最初の児童書が『エルマーのぼうけん』だった。
児童書は、先ず奇想天外な面白さに満ちていなければ、子供は手にとらない。しかし、物語があまりに現実離れしていると、リアリティがなくなるので子供の心には入り込めない。本書は、このバランスが絶妙だ。
9歳のエルマーは、年を取ったのらねこから、どうぶつ島に囚われて酷使されているりゅうの子供の話を聞いて、りゅうを助けにいく。ストーリーは荒唐無稽に見えるが、エルマーは、どこの家庭にもある輪ゴムやリボン、歯ブラシやチューインガムなどを持って冒険に乗り出すのだ。
どうぶつ島では、ライオンやトラ、ワニなど恐ろしい動物がエルマーを待ち受けている。エルマーは、さて、どうやってこの危難を乗り越えるのだろうか。子供は、きっとワクワクドキドキしてページをめくるに違いない。そして、機知に溢れたエルマーが動物をやりこめる度に拍手をおくるに違いない。
本書は3部作となっているので、もっと読みたいと思ったら、続きが読めるのだ。これも他の児童書には見られない優れた特徴だ。
※週刊ポスト2019年8月16・23日号