韓国の国際機関への訴えによって、日韓の対立は否応なく国際世論をめぐる争いに発展した。気になるのは、世界がこの争いをどう見ているのかということだ。歴史認識をめぐってはこれまで日本が国際社会から批判を浴びてきた経緯がある。だが、ここに来て一気に風向きは変わっていた。
いよいよ日韓バトルは世界に飛び火した。日本が打ち出した韓国に対する半導体素材の輸出管理強化について、韓国は7月24日にジュネーブで開かれた世界貿易機関(WTO)一般理事会で、「不当な措置で自由貿易からの逆行」だと日本を非難した。それに対し日本側は「自由貿易とは武器に転用可能なモノや技術を管理・条件なしに取引するものではない」と応酬した。
さて、このやり取りを世界はどう受け止めたのか。この日の会議について、英ロイター通信(7月25日付)は、〈韓国は国際社会を動員して日本の動きを牽制するために一般理事会にこの問題を持ち込んだが、会議では第三国による発言はなかった。日韓以外の複数国の代表はロイターに、複雑な歴史が絡む2国の対立に巻き込まれたくはないと述べた〉と報じている。
そもそもWTOでは、多国間交渉のルールについて話し合うのが原則で、韓国が二国間の交渉ごとを持ち込むこと自体が異例だった。が、韓国の激しい主張にも他国の同調は広がらず、意見が出ないまま最後は議長が打ち切ったという。他の参加国が冷ややかに見ている様子が窺える。