「当分衆院の選挙はないと安倍さんは言ってますから」──7月24日、都内で開かれた五輪関連の会合でそう述べた森喜朗・元首相。だが、そういう言葉が報じられたときこそ水面下では、虎視眈々と解散の準備が進められているものだ。特に「参院選で躍進した」と報じられたれいわ新撰組やNHKから国民を守る党などの野党小政党の動きは今、皮肉にも自民党が衆院選で圧勝する要因となり得る。この好機を安倍首相が逃すはずはない。
11月解散、総選挙は五輪前の最後の解散チャンスだ。選挙戦となれば間違いなくこの2人の集客合戦になる。
熱烈な支持者と警護に二重三重にガードされて街頭演説に立つ安倍首相と、神出鬼没で「太郎は太郎でも、麻生太郎じゃありません」と商店街を練り歩くれいわ新選組の山本太郎代表だ。
だが、“台風の目”になると予想される山本氏が脚光を浴びるほど、他の野党の存在は霞み、戦況は「自民党有利」になっていく。まず野党の“票の奪い合い”が始まる。
山本氏は次期衆院選に「独自候補100人擁立を目指す」と宣言した。12月総選挙になれば自ら大票田の東京などで小選挙区と比例代表に重複立候補するのは確実だろう。
それに戦々恐々としているのが自民党より立憲民主党だ。れいわと支持層が重なるだけに、100人も候補を擁立されると票を食われて共倒れになりかねない。