前代未聞の“作業員風コスプレ保釈”で世間を騒然とさせてから、はや5か月。日産自動車・元会長のカルロス・ゴーン被告(65)を巡る表立った動きはほとんどない。
「現在は裁判での争点や証拠を絞り込む公判前手続きの真っ最中。10月頭には金融商品取引法違反事件について予定主張を明らかにすることになりそうで、その書面作成に追われている状況です。時間的な猶予は僅かで、ゴーン被告も毎日のように、弁護士事務所に赴く日々です」(社会部記者)
保釈条件となった「住居の監視カメラ」「携帯電話はメール、インターネット禁止」などの私生活の制限は続いたままだ。
「ゴーン被告にとってはストレスの募る日々でしょう。捜査関係者が今も常に行動確認に張りついているそうで、近く弁護団はその“監視体制”に抗議する意向を示している」(同前)
私生活が著しく制限されるなかで、ゴーン被告が裁判所に要求しているのが、“妻との再会”だという。
「7月末に、キャロル夫人との面会許可申請を裁判所に提出しています。8月上旬から1週間前後の予定で、通信制限を受ける代わりに、国内であれば移動の自由が制限されない申請内容のため、夫人とどこかに出かけることも可能です。海外メディアに対してゴーン被告が“人権侵害”を受けていると猛アピールする夫人との面会が実現すれば、法廷闘争の本格化に向けてこれ以上ない“充電”になるはず」(同前)
実際、事件を巡る現在の平穏は、嵐の前の静けさに過ぎない。
「ゴーン被告は6月末に日産と三菱自動車のオランダ子会社に、解雇は不当だとして、1500万ユーロ(約18億円)の損害賠償請求を起こした。これまで訴えられるばかりでしたが、これからは民事で反撃していくという意思表明でしょう。
刑事事件でも裁判での主張が決まる10月以降に弁護士主導の会見を開くと見られている。検察サイドもメディアへのリーク合戦に応じていくことになるでしょう」(ジャーナリスト・伊藤博敏氏)
秋に反撃の狼煙が上がり、「ゴーン劇場」の第二幕が始まろうとしている。
※週刊ポスト2019年8月16・23日号