大塚久美子社長率いる大塚家具は、業績悪化からなかなか回復の兆しが見えず、父・勝久氏との関係修復もいまだ道半ばである。
大塚家具は今年、創業50周年にあたる節目の年だけに、是が非でも連続赤字をストップする必要があるが、打つ手はあるのか。
そこで久美子社長が考えたのが、「社長の大塚久美子がガイド! 有明本社ショールーム見学ツアー」である。大塚家具の会員になれば、無料で社長自らの案内でショールームを見学できるというサービスだ。
ツアーに参加したという田村秀男・産経新聞特別記者が語る。
「久美子さんとは以前から知り合いで、来ませんかと誘われました。私は高級家具に特化したビジネスモデルは限界ではないかと思っていましたが、ショールームで久美子さんから日本の各地で作られた家具についての詳細な説明を聞き、どういった伝統が生かされているかを聞くと、家具が日本の地方経済と結びついた文化であることを実感できました。
ただ、『とてもじゃないが、庶民には手が出ない』と率直に言ったところ、『いいんですよ、うちは博物館でも。お客様がそれで楽しめればいいんです』と言っていた。経営上のごたごたがあったけど、ようやく再スタートを切った感じなのかな。そんな余裕を感じました」
大塚家具広報室によると、「すでに2回開催され、次回は8月に予定されていますが、会社としてでなくあくまで社長が独自に行なっているものです」とのこと。
久美子社長はツイッターに前回のツアーについて〈ご好評いただきました。60分間のツアーでしたが、参加の皆様のご了解を得て、少し延長しました。内容を絞っても60分では足りない感じです〉と書き込むなど、意欲十分。「会いに行ける女社長」が、復活のカギを握るのかもしれない。
※週刊ポスト2019年8月16・23日号