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金田一秀穂氏が孫に読ませたい、圧倒的に綺麗な日本語の本

言葉のプロが選んだ1冊は?(時事通信フォト)

 超難関中学に進学した女優・芦田愛菜(15)が読書愛を語る著書『まなの本棚』が、発売早々ベストセラーに。孫を本好きにしたいと願う祖父母世代が多く買い求めているというが、ではどんな本を孫に読ませればいいのか──。言語学者の金田一秀穂氏(66)が勧めるのは、『ドリトル先生航海記』(ヒュー・ロフティング著/井伏鱒二訳)だ。

 * * *
 私に孫はいないのですが、もしいたとしたら読ませたいのは『ドリトル先生航海記』ですね。「ドリトル先生シリーズ」(全12巻)の代表作と言われています。

 動物と会話ができるドリトル先生が動物たちと一緒に旅をするというファンタジー作品で、内容的にも児童文学として良質なのですが、それ以上に素晴らしいのは、文章の日本語が非常に綺麗だという点。

 それもそのはずで、岩波書店版の翻訳者は、文豪・井伏鱒二なのです。小難しい言葉が使われていることもなく、小学生でも意味が分かるような文章になっています。

 私がこの本を初めて読んだのは小学生の時。当時は日本語がどうこうなんて思いませんでしたが、内容がスイスイと頭に入ってきて、楽しく読了しました。後年になって、翻訳者が井伏鱒二だと知った時は“あぁ、なるほどな”と思いました。

 私に孫がいたら、小さい頃から“圧倒的に綺麗な日本語”というものを感じてほしいと思います。そういう読書体験を重ねていくことで、将来、正しい日本語を使える大人になれるのではないでしょうか。

※週刊ポスト2019年8月16・23日号

ドリトル先生航海記 (岩波少年文庫 (022))

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