超難関中学に進学した女優・芦田愛菜(15)が読書愛を語る著書『まなの本棚』が、発売早々ベストセラーに。孫を本好きにしたいと願う祖父母世代が多く買い求めているというが、ではどんな本を孫に読ませればいいのか──。日本サッカー協会元副会長の釜本邦茂氏(75)が勧めるのは、『壬生義士伝(上・下)』(浅田次郎著)だ。
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現役時代から海外などの遠征が多く、長時間の移動中に吉川英治さんや司馬遼太郎さんの作品をよく読んでいました。
うちの孫は女の子2人。もう成人していて、上の子は司法試験に通って司法修習生、下の子は銀行に勤めています。特に上の子は小さい頃から私が読んだ時代小説を欲しいとねだっては、熱心に読んでいましたね。
時代小説は歴史を学びながら、そこで描かれている家族愛や仲間との絆に触れられる。特に読んでほしい1冊を挙げるなら浅田次郎さんの『壬生義士伝』でしょう。
南部藩を脱藩して新選組に入隊した主人公・吉村貫一郎の家族や仲間への思いに、思わず涙する作品です。
〈戦は死ぬためにするのではねのす。殺さねば殺されるから、戦ばするのす。死にたぐはねえから、人を斬るのす〉
といった吉村の独白が胸に迫ります。家族のために生き抜こうとする姿から、自らの信念を貫く難しさ、大切さを知ってもらいたい。
※週刊ポスト2019年8月16・23日号