超難関中学に進学した女優・芦田愛菜(15)が読書愛を語る著書『まなの本棚』が、発売早々ベストセラーに。孫を本好きにしたいと願う祖父母世代が多く買い求めているというが、ではどんな本を孫に読ませればいいのか──。自民党東京都連最高顧問の深谷隆司氏が勧めるのが、『坂の上の雲(一~八)』(司馬遼太郎著)だ。
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明治維新を経て近代国家として歩み出し、日露戦争に勝利するまでの日本を描いた名著です。私には孫が5人いますが、一番年上の高校1年生の孫に薦めました。先人たちがいかに日本を愛し、どう生きたかを知ってほしい。
日本は、日露戦争に勝利することで欧米列強に一目置かれる存在になりました。しかし、『坂の上の雲』の時代の後、列強から警戒や反感は強まり、ついには太平洋戦争につながります。
私は9歳の頃、満州で終戦を迎えました。敗戦国となり、現地で辱めを受けたり、殺されたりする人がたくさんいた。10歳の時に運良く日本行きの船に乗ることができましたが、佐世保港に着くと大人たちがみな頬を地面に寄せ「帰ってこられてよかった」と泣いていた。その姿が忘れられません。
日露戦争の後、日本はどう立ち回ればよかったのか。世界の中で日本はどうあるべきか。この作品からはそんなことも考えさせられます。政治家になってからも良き参考書でした。
孫たちの時代も、「激動の時代」になるでしょう。この本を通じて、自分はどう生きるかを考えてほしい。
※週刊ポスト2019年8月16・23日号