8月中盤を迎え、セ・リーグは三つ巴になっている。3連覇中の広島、勢いのあるDeNA、移籍組と生え抜きの融合で首位を走ってきた巨人のうち、どこがペナントを手にするのか。野球担当記者が話す。
「どのチームも圧倒的な強さがあるわけではなく、抜け出す力はない。ここからは監督の手腕がモノを言うはずです。そうなると、監督12年でリーグ優勝7回、WBCも制した原辰徳監督の経験値が活かされるのではないでしょうか。たしかに今年の巨人の躍進は、原監督の力によるところは大きい。しかし、後半戦に入ってからは不可思議な采配も見受けられます。特に最近では、今年セカンドのポジションを掴みかけている若林晃弘にこだわり過ぎている印象もあります」(以下同)
若林は桐蔭学園高、法政大、JX-ENEOSという経歴を歩み、2017年のドラフト6位で巨人に入団。2年目で25歳の今季、6月にスタメンの座を勝ち取り、一時は交流戦の首位打者を奪いそうな勢いで打ちまくっていた。6月は3割1分、7月は2割9分9厘と数字を残していたが、疲れが出てきたのか、8月は打率、出塁率ともに1割台と絶不調。それでも、原監督はスタメンで起用し続けている。
「期待している証拠でしょうし、守備や走塁面も含めた総合力で先発出場させているはずです。しかし、試合終盤の勝ち越しのチャンスでも、若林をそのまま打席に立たせて、凡退する場面が目立ちます。シーズン序盤なら成長させるための経験だとわかりますが、優勝争いをしている勝負の8月ですからね」
7月27日の阪神戦では同点で迎えた8回と10回、ともに2死満塁のチャンスで打席が回ってくるも、原監督は阿部慎之助という代打の切り札が残っているにもかかわらず、若林をそのまま打たせ、両打席とも三振に終わった。結果、延長11回に阪神が勝ち越し、チームは敗れた。8月13日の広島戦でも、同点で迎えた9回、11回の好機に打席に立つも、ともに凡退。11回はめぼしい控え選手がいなかったため、仕方ない面もあったが、9回の2死三塁の場面では阿部も陽岱鋼も残っていたのに、原監督は使わなかった。
「今年の原監督は『ここが勝負』と見極めれば、序盤でも阿部を代打に出すなど仕掛けが早く、打つ手もハマっていた。前半戦、チームを独走状態に導いた要因は原采配だったと思います。しかし、今の若林は特別扱いを受けているように見えてしまう。それだけ原監督は実力を買っているのでしょうが、誰もが代打と思う場面でそのまま打席に立たせ、試合を落とすケースも目立ちます。8月、精彩を欠いている若林をこのままスタメンで使い続けるとなれば、チーム内からも疑問の声が挙がってもおかしくありません」
もちろん、若林が原監督の期待に応えることができれば、こうした声は払拭されるはず。原監督にとっても、若林にとっても、正念場の8月といえそうだ。