超難関中学に進学した女優・芦田愛菜(15)が読書愛を語る著書『まなの本棚』が、発売早々ベストセラーに。孫を本好きにしたいと願う祖父母世代が多く買い求めているというが、ではどんな本を孫に読ませればいいのか──。元プロ野球選手の村田兆治氏(69)が勧めるのが、『宮沢賢治詩集』(谷川徹三編)だ。
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広島の田舎町からプロに入り、「強くなりたい」と思って、宮本武蔵の『五輪書』を読んだり、サムエル・ウルマンの『青春の詩』を暗記したりもしましたが、ヒジを故障し、トミー・ジョン手術をした時に頭をよぎったのは、小学校の頃に覚えた宮沢賢治の詩でした。
〈雨ニモマケズ/風ニモマケズ/雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ/丈夫ナカラダヲモチ/慾ハナク/決シテ瞋(おこ)ラズ/イツモシヅカニワラツテヰル〉
大人になって困難に直面して初めて、子供の時に読んだ詩の意味がわかりました。強い人はたくさんいるけど、思いやりのある人は少ない。勝っても威張らず、天狗になってはいけない。それがわかったから40歳まで現役を続けられたし、今も現役並みの激しいトレーングができる。
島嶼部を回って少年野球を指導し、多くの小学生と触れ合っていますが、小さい頃に読んでもらいたい。人間は躓いた時に物事を深く考える。そういう時に助けとなる言葉が、宮沢賢治の詩にはあると思います。
※週刊ポスト2019年8月16・23日号