超難関中学に進学した女優・芦田愛菜(15)が読書愛を語る著書『まなの本棚』が、発売早々ベストセラーに。孫を本好きにしたいと願う祖父母世代が多く買い求めているというが、ではどんな本を孫に読ませればいいのか──。経済アナリストの森永卓郎氏(62)が勧めるのが、『機会不平等』(斎藤貴男著)だ。
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小学校入学前の5人の孫がいますが、“頑張れば報われるよ”なんてことを教えるよりも、「世の中というのはこんなにひどい仕組みになっているんだ」という現実を早い段階で知らせた方が、彼らのためになるだろうと思っています。
そこで10代のうちに読ませたいのは、ジャーナリストの斎藤貴男さんが書いた『機会不平等』です。この本は小泉内閣(2001年4月~)が発足する前の2000年に刊行されました。
「小泉構造改革」では“機会の平等”が謳われましたが、それ以来、“強い者はより強く、力の無い者はそれなりに”というような弱肉強食の社会になってしまい、格差がどんどん開いていった。
斎藤さんはこの本を書くにあたり、膨大な資料をもとに分析して、「このままだと日本はひどい格差社会になる」と警鐘を鳴らしていました。財界人や高級官僚、御用学者らが手を組み、庶民をどんどん不幸にしていく構造になっていると。
“自分の人生をどう設計するか”という根幹の部分に関わってくることなので、大人になる前に読んでおいたほうがいい。10代の子供でも十分理解できます。
※週刊ポスト2019年8月16・23日号