日本のプロ野球OBたちに史上最高の選手は誰かと問い、その投票結果を集約した『プロ野球史上最高の選手は誰だ?』(宝島新書)が話題になっている。投票結果から、ライバル同士が、互いをどう見ていたのかが浮かび上がってくる点も興味深い。
メジャーでも“ゴジラ”の名を轟かせ、日本人で唯一、ワールドシリーズMVPに輝いた実績を誇る松井秀喜氏(現役/1993~2012年、所属/ヤンキースほか)を野手1位に選んだうちの一人に、現役時代に“松井キラー”の異名を取った遠山奬志氏(1986~2002年、阪神ほか)がいた。左のワンポイントリリーフとして、巨人の主砲だった松井氏を抑え込んでいた印象の強い遠山氏だが、なぜ松井氏が1位なのか。
「対戦するたびに成長を感じさせる凄いバッターでした。前の打席で空振りしていたのに、同じボールを次の打席ではファウルにする。バットがかすりもしなかったコースに、次の試合ではバットが届くようになっている。練習を重ねて苦手を克服していることがよくわかりました。
投げるたびに雰囲気が変わるというか、“次は打たれる”と投手に感じさせる力を持っていた。“ここに投げておけば大丈夫”という打者が多かったなかで、打たれないコースがだんだん狭まっていく松井は驚異でしたね。
投手の1位は斎藤雅樹さん(1984~2001年、巨人)にしました。サイドスローからのスライダーとカットボールは威力もコントロールも抜群。次々と打者を打ち取っていくから、見ていて“ピッチングって簡単なんじゃないか”と思ってしまうほどでした」
※週刊ポスト2019年8月16・23日号