大地震や豪雨など災害時の備えはできているだろうか。高齢の親がいればなお、いざという時に落ち着いて行動できるようにしておきたい。また、避難所に関する情報も重要だ。阪神・淡路大震災をはじめ多くの災害現場を知る防災・減災アドバイザーの水島重光さんはこう言う。
「避難所にはいくつか種類があります。まず市区町村が開設する“指定避難所”。自宅の損壊が激しく、生活が困難な人は誰でも利用できます。学校や公民館などが一般的。高齢者や妊婦、障害者など配慮が必要で、指定避難所では生活しにくい人たちのために開設されるのが“福祉避難所”。専門スタッフから必要な支援・介護を受けながら生活できます。ただ直接行くことはできず、指定避難所で体調や要介護状態を検討の上、移送が決まるので、まずは指定避難所にいる“運営委員(会)”に相談しましょう」
このほか、旅館、スポーツ施設など、民間企業や法人が提供する避難所もある。一方、自宅避難は気楽な半面、物資や情報が不足して孤立しやすくなるという。
「情報や配給品が集まる指定避難所は重要拠点なのです。自宅で避難生活をしていても、定期的に避難所に行ってみるとよいでしょう」
指定避難所を運営するのは、多くの場合、地元の自治会や町内会。地域や住民のことをよく知っている人たちなのだ。
「災害時には実にいろいろな困り事が起きますが、相談することで、みんなが知恵を持ち寄ってくれることもあります。マニュアルで解決できないことも人の助け合いで乗り切れることがよくあるのです」
離れて暮らす親の防災も、子供だけで抱えるのは難しい。
「要介護認定を受けておらず、介護事業所などとかかわりのない高齢者は、支援のあるところまでたどりつけるかどうかが問題になります。そんな時に力になるのが地域の共助。親が親しくしているご近所さんや自治会などに、帰省時にでも挨拶に行き、よい関係を築いておくのもよいでしょう。
家族だけ、親だけの“点”ではなく、ご近所、地域の共助の輪で考えることが、より力強い防災につながります」
※女性セブン2019年8月22・29日号