子供の躾、教育における悩みに彼我の差はさほどないようである。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。
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むかし「小皇帝」、いま「熊子供」──。自分勝手でキレやすい子供が中国社会を悩ませている。
甘やかされて協調性のない子供を呼ぶ言葉として流行語となった「熊子供」だが、彼らのわがままな行動は他人に迷惑をかけるだけではない。
恐ろしい騒動を報じたのは、6月3日付『看看新聞』である。そのタイトルは、〈フライドチキンを買ってもらえなかったため、激怒した13歳息子が高速鉄道のプラットホームから線路に飛び込む〉。なんとも常軌を逸した剣幕である。
現場となったのは、広東省の陽江駅である。13歳の子供が線路に落ちたという知らせを受けて沸山鉄道警察陽江分署の警官が駆け付けたのだったが、実際は落ちたのではなく飛び込んだという。それも原因はフライドチキン……。誰一人けがする者がいなかったからよかったものの、という話である。
母親はこの日、近頃感情が安定しない息子を病院に連れてゆく途中だったというから、新聞の見出しにあるように、単なる「熊子供」ということではないのかもしれないが、メディアがこういう話に接して、すぐに「熊子供」の名前を思い浮かべるのは、やはり社会の傾向としてそういうものがあるのだろう。