ライフ

椎名誠氏が子と孫に何十回、何百回と読み聞かせている本は?

椎名氏がお勧めする『三びきのやぎのがらがらどん』

椎名氏がお勧めする『三びきのやぎのがらがらどん』

 超難関中学に進学した女優・芦田愛菜(15)が読書愛を語る著書『まなの本棚』が、発売早々ベストセラーに。孫を本好きにしたいと願う祖父母世代が多く買い求めているというが、ではどんな本を孫に読ませればいいのか──。作家の椎名誠氏(75)が勧めるのが、『三びきのやぎのがらがらどん』(マーシャ・ブラウン絵/瀬田貞二訳)だ。

 * * *
 子供は二人できた。姉と弟だ。赤ちゃんから幼児になるにしたがってコミュニケーションが必要になる。男の子ならまだしも女の子とどう付き合っていけばいいかよくわからなかった。

 その時頼りになったのが絵本だ。片っぱしから読み聞かせているうちに『三びきのやぎのがらがらどん』が二人とも妙に気に入ってしまって、何十回、何百回と読まされたことか。

 大中小の山羊が草を食べておなかをいっぱいにするために橋を渡っていくという話。その橋の下にトロルというぐりぐり目玉の大きな怪物がいて、橋を渡る山羊たちに大きな声でどなる。そのたびに、二人は必ず同じところでぎょっと体をすくめる。それが面白くてこちらも読むのに力が入った。

 娘も息子も大学を出るとアメリカに行ってしまったが、時々屋根裏に行って本棚にあるその本を見かけると、苦労しながらも小さいころからコミュニケーションがとれたのだなとほろ苦く思い出したものだ。

 その後、数十年してアイスランドに行ったとき、海岸に十メートルほどの大きな石像があった。トロルだった。子供たちは本気で怖がっている。大人よりも子供の方が本能的に感性が深いのだなと思った次第。

 今現在は日本にいる三人の孫たちにその本を見せている。三人ともやはり同じところで身をすくめている。

※週刊ポスト2019年8月16・23日号

三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン