医者にかかると、患者は「熱が出た」「頭痛が激しい」など自覚症状を伝える。医師はその時、患者が訴えたいくつかの症状の“組み合わせ”で重病の可能性を見極めている。だからこそ「今日はどうされましたか?」という質問は重要なのだ。
例えば、“ぐるぐる回る”“立ちくらみ”などと表現することが多い「めまい」は、「何をしていた時に」「どれくらい続いたか」が重要だという。『診断力を鍛える! 症候足し算』(羊土社)の著者で、富山大学附属病院総合診療部准教授の北啓一朗医師(総合内科)が説明する。
「『朝起きて枕から頭を上げた時に起こった』などの“誘因”や、『1分くらいでおさまった』『ずっと続いて這って歩くほどだった』などと“持続時間”を伝えると医師が判断しやすい。さらに『まっすぐ歩けない』『しゃべりにくい』『吐いても症状が改善しない』『頭痛』などの症状を伴う場合は、いずれも重大疾患の可能性があるので、早期に受診してください」
自覚症状があっても、時間が経っておさまった場合には、医者にかからないという患者も多いだろう。しかし、「症状が和らぐしびれ」には注意が必要だ。
「『手足のしびれや脱力』『ろれつが回らない』といった症状の場合は、たとえ10分程度で治まったとしても注意が必要です。一過性脳虚血発作といい、脳梗塞に移行しやすい状態が考えられます。受診時には症状がないことが多いので、発症時の病歴が大変重要になります」(同前)