病院の診察室に入ると、医師は決まって最初にこう尋ねる。「今日はどうされましたか?」──その時、ほとんどの患者は何気なく自覚症状を伝えている。
しかし、医師は頭の中で「重病につながる“別の体調異変”がないか」と常に頭を巡らせている。特に「痛み」の自覚症状は、重要な判断材料となる。
例えば「胸痛」の場合、「持続時間」が病名を分けるという。きくち総合診療クリニック院長の菊池大和医師が解説する。
「5分以内でおさまる胸痛、息苦しさの場合、狭心症の疑いが強い。5分以上継続する場合は、心筋梗塞の可能性が高くなります」
狭心症の診断では「運動時に起きたか」「動いていないのに起きたか」もポイントになるという。
「狭心症は、胸がキューッと締め付けられるように痛む、と表現することが多く、運動や階段を登っている時に起きる『労作性狭心症』と、動いていない時の『不安定性狭心症』の2種類に分かれます。
これらの痛みや持続時間は似ていますが、不安定性狭心症の場合、発作の頻度が徐々に増える傾向がある。1か月に1回から、週に1回、3日に1回、1日に3回など間隔が狭くなります」(同前)