国際情報

韓国の日本不買運動で浮き彫りになった「斉一性の圧力」

これまでとは対照的に元気がない文在寅大統領(時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、韓国で拡大する日本製品の不買運動を分析。

 * * *
 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が、8月15日の演説で日本批判をトーンダウンさせた。日本統治からの解放を記念する「光復節」の式典で、反日強硬姿勢を取ると思われていただけに拍子抜けだ。

「今からでも日本が対話と協力の道に出れば、我々は喜んで手をつなぐ」と淡々と演説したが、式典に参加した人々からの拍手もまた淡々としたものだった。“ワンコリア”という言葉で朝鮮半島の平和と統一を掲げ、「日本を追い越す」と経済大国への未来を語り、最後は「我々はできます」と言い切ったものの、熱狂的な拍手や歓声は返ってこなかった。

 それもそうだろう。反日姿勢を鮮明にして、国民の反日感情を煽るような発言を繰り返して支持率を上げてきたのは文大統領自身だ。日本の輸出管理強化で韓国がホワイト国から除外されると、文大統領は対決姿勢を強めた。日本を「盗人猛々しい」と激しく批判し、「日本に二度と負けない」と発言。これにより、韓国で展開されていた日本製品の不買運動は一気に広がり、5日には「南北の経済協力が実現すれば一気に日本の優位に追いつける」とも発言した。

 文大統領の発言により、民間レベルで始まった不買運動が公共機関や自治体にまで波及し、観光客で賑わう明洞(ミョンドン)を含むソウル中区の通りでは6日、中区の区役所が反日旗を掲げるという騒ぎも起きた。人々は日本への旅行を取り止め、日本製品をボイコット。「不買運動に参加しない者は非国民」という声さえ聞こえるほどだ。韓国にとって反日は正義なのだろう。

 今韓国では、『反日種族主義』というソウル大学名誉教授の李栄薫(イヨンフン)らが書いた本が、ベストセラーになっている。反日を掲げなければ生きていけない「反日種族主義」が蔓延する今の韓国社会を批判的に表現したものだというが、まさに今の韓国を言い表している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン