2020年7月24日から8月9日まで開催される東京五輪チケットの獲得競争は熾烈を極めた。一次抽選を申し込んだ総人数は約512万人で、当選者は約96万人。倍率は約5.3倍という狭き門だった。
9月11日に結果が発表される追加抽選のほか、秋には2次抽選も予定され、こちらも大争奪戦となることは間違いない。
しかし、先日の台風10号で山陽新幹線が終日運休となり、空の便も多くが欠航に追い込まれたように、台風で交通機関がマヒして会場に辿りつけなかったら、苦労して取ったプラチナチケットが「紙クズ」になりかねない。というのも、オリンピック憲章で、競技大会の競技実施期間は16日間を超えてはならないとい定められているため、何よりも予定の競技日程を消化することが優先されることになりそうだからだ。
東京都の招致活動で推進担当課長を務めた経験のある鈴木知幸・国士舘大学客員教授が語る。
「組織委員会の武藤敏郎事務総長は昨年10月の会見で、台風などの自然災害によって開催が困難となった場合、チケット代の払い戻しにかかる費用に備え、高額の保険に入っていると説明しています。もし中止になれば払い戻しが行なわれます。ただし、日程変更や交通機関の遅延によって会場に行けなくなった場合では、払い戻しは受けられないでしょう」
ちなみに、申し込みの時点から「払い戻し不可」のチケットもある。
「サーフィン競技は海のコンディションに左右されやすいため、1枚3000円と比較的安価な価格設定にし、音楽イベントなども同時に開催することで、競技自体が中止でも払い戻しされない見込みです」(同前)
とはいえ、『せっかくチケットを買ったから』といって、悪天候のイベント会場に行くのは危険が伴う。