もし、東京オリンピック真っ最中の首都圏を大型台風が直撃したら……競技だけでなく開会式・閉会式のプログラムにも影響があるかもしれない。オリンピック憲章で競技実施期間が厳しく制限されていたり、巨額の放映権料が発生する放送スケジュール変更が難しかったりと、予定のスケジュール通りに強行開催される可能性が高く、開・閉会式も例外ではないからだ。
過去の五輪では「花火」を使ったパフォーマンスが多く見られたが、台風襲来となれば火薬や発火装置の使用は難しくなるだろう。
スポーツ紙五輪担当チーフは、リオ五輪の取材経験から、重大なリスクがあると指摘する。
「2016年リオ五輪では、閉会式の最中に雨風が強まり、会場だったマラカナン競技場周辺が数時間にわたって停電しました。リオ当局が自家発電施設を稼働させ、式典内容を一部変更して事なきを得ました。東京とブラジルではインフラ設備の質が違うとはいえ、決して他人事ではない」
◆大雨で聖火が消えてしまう?
聖火ランナーへの応募者も殺到しているが、大雨・強風の中では「聖火の扱い」もデリケートになる。
1964年の東京五輪では、兵庫―大阪間の聖火リレー前日に台風が接近し、同区間でのリレーが中止となった。東京都の招致活動で推進担当課長を務めた経験のある鈴木知幸・国士舘大学客員教授がいう。
「聖火は車で運ばれて、ランナーに選ばれた約700人は“幻の聖火ランナー”となりました。その時は後日、リレーの代わりに、水泳施設のプールサイドを周回する『聖火の夕べ』が行なわれました。今回も天候次第では聖火リレーの継続が危ぶまれる可能性はある」
※週刊ポスト2019年8月30日号