スポーツ

テニスの世界大会 バレーや卓球に比べて番狂わせが少ない訳

全米オープンでの活躍が期待される錦織圭選手(時事通信フォト)

全米オープンでの活躍が期待される錦織圭選手(時事通信フォト)

 8月27日(日本時間)よりテニス4大大会の最後を飾る全米オープン(本戦)が開催されるが、過去の世界大会の試合結果を見ると、大会の上位メンバーがいつも同じ顔ぶれに感じないだろうか? 男子シングルスの錦織圭選手をはじめ、日本の選手が健闘して上位の選手を破ることもあるが、多くの場合、ランキング(実力)どおりに勝敗が決まる。ニッセイ基礎研究所主席研究員の篠原拓也氏が、そんな“番狂わせ”が起こりにくいテニスの点数カウントの仕組みについて分析する。

 * * *
 いま、いろいろなスポーツが花盛りだ。特に、点をとったりとられたりする球技は、試合途中の情勢が明確で、観客が盛り上がりやすい。

 球技には、大きく分けて2つのタイプがある。1つは、野球、サッカー、ラグビーのように、1プレイごとに対戦しているどちらかのチームに点が入るとは限らないもの。もう1つは、テニス、卓球、バドミントン、バレーボールのように、1プレイごとに必ず対戦しているプレーヤーやチームのどちらかに点が入るタイプだ。

 このタイプは「ラリーポイント制」と呼ばれ、ある点数に到達すると、セットやゲームを獲得する。そして、獲得したセットやゲーム数がある数に達すると試合に勝利する。

 少し細かい点だが、テニスの場合、ファーストサービスのフォルトは1プレイとみなさず、ダブルフォルトになったときに1プレイとみなす。また、硬式テニスでは、ふつうは1点、2点、3点といわずに、15点、30点、40点というが、ややこしくなるので、ここでは1点、2点、3点と表す。

 テニスは、点数カウントの仕組みが複雑だ。先に4点を獲得したプレーヤーがゲームを取る。そして、先に6ゲームを獲得したプレーヤーが、セットを獲る。ただし、ゲームカウントが5-5で並んだ場合は、ゲームを2つ立て続けにとって7-5にするか、もしくは、ゲームカウント6-6で並んでタイブレークという7点先取のゲームをとるとセットを獲得できる。そして、3セットを先に獲得したプレーヤーが勝利する(5セットマッチの場合)。

 ここで、デュースという点数カウントの仕組みがある。あるゲームで点数が3-3で並んだ場合は、2点差をつけて上回らないと、そのゲームを獲得できない。また、タイブレークにも、デュースがある。点数が6-6で並んだ場合は、2点差をつけて上回らないと、そのセットを獲得できない(※注)。デュースがあることで、試合の緊張感が高まり、1プレイごとに観客が大いに沸くこととなる。

※注/4大大会のシングルスの試合では、最終セットでゲームカウントが6-6で並んだ場合、決着のつけ方がそれぞれ異なる。全米大会は、通常のセットと同様、7点先取のタイブレーク。全豪大会は、10点先取のタイブレーク。全仏大会はタイブレークを行わずにどちらかが2ゲーム差をつけて相手を上回るまで試合が決着しない。全英大会は、以前は全仏大会と同じだったが、2019年から仕組みが変わった。2ゲーム差がつかないままゲームカウントが12-12で並んだ場合、7点先取のタイブレークで決着をつけることとなった。

 実は、テニスの1ゲームのスコアは、確率的に計算できる。これは、1つのゲームを獲得するまでのプレイの回数が、「負の二項分布」と呼ばれる確率分布に従うためだ。これ以後、算式が出てきて、やや難解かもしれない。算式をとばして、後の【計算結果】まで読み進んでいただいても構わない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

コムズ被告主催のパーティーにはジャスティン・ビーバーも参加していた(Getty Images)
《米セレブの性パーティー“フリーク・オフ”に新展開》“シャスティン・ビーバー被害者説”を関係者が否定、〈まるで40代〉に激変も口を閉ざしていたワケ【ディディ事件】
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
1泊2日の日程で石川県七尾市と志賀町をご訪問(2025年5月19日、撮影/JMPA)
《1泊2日で石川県へ》愛子さま、被災地ご訪問はパンツルック 「ホワイト」と「ブラック」の使い分けで見せた2つの大人コーデ
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
江夏豊氏が認める歴代阪神の名投手は誰か
江夏豊氏が選出する「歴代阪神の名投手10人」 レジェンドから個性派まで…甲子園のヤジに潰されなかった“なにくそという気概”を持った男たち
週刊ポスト
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン