球児たちの夏が終わり、次なる関心は彼らの「進路」へと移っていく。高校生最速の163kmをマークした大船渡・佐々木朗希は、スカウトや球団関係者からどのように見られているのか。
V9時代序盤の巨人を牽引し、引退後はロッテ、巨人で20年以上スカウトを務めた“エースのジョー”こと城之内邦雄氏は今秋のドラフト会議の目玉としては、星稜高校の奥川恭伸ではなく、“佐々木推し”だ。
「佐々木君は線が細いと言われますが、400勝投手の金田正一氏も、国鉄に入団したときは細かった。高校時代は成長過程でも、プロに入って下半身を鍛え、それに合わせて上半身を鍛えることで成長するんです。そのためには走り込みを一生懸命するかどうか。その意味で、高校生は“走ることを苦とするか”を見るべきです。スカウト時代に投手を見る時は、投球練習よりも足の速さや走るフォームを見たものでした。
佐々木君は50mを5秒9で走る俊足と聞いていますから、その脚力を持つ下半身を鍛えて、トレーニングを積んでいけば大化けすると思いますよ」
城之内氏が“走り込み”に注目した一方で、西武や楽天など数々の球団で投手コーチを歴任した野球評論家の杉本正氏は、“投げ込み”に着目する。
杉本氏が念頭に置くのは、西武投手コーチ時代の1998年ドラフトで1位入団した松坂大輔(現中日)だ。