甲子園を賑わせたスターは今、何をしているのか? 多方面で活躍するかつてのエースたちの今を追った。(文中敬称略)
平成11年(1999年)の夏、桐生第一のエース正田樹は甲子園で全6試合に先発し、5完投3完封で全国の頂点に立った。
「毎年夏になると取材等があって思い出しますよね。あまり具体的なことは覚えていないんですが、3回戦の静岡高校戦の調子が悪かったのは良く覚えています」
昔は休養日などなかったため、正田は3回戦から決勝まで4連投を経験した。エースが完投するのが当たり前の時代、エースである自分が次も投げるのがわかっている以上、戦うスイッチが勝手に入ったという。
「もちろん優勝は嬉しいことですが、今プロとしてプレーしている自分にとっては、高校生の時の出来事であり、過去のこと」
高校3年時に北海道日本ハムにドラフト1位で指名され、3年目に新人王をとったものの、阪神、台湾、独立リーグ、ヤクルト、台湾と渡り歩き、そして現在は再び独立リーグの愛媛マンダリンパイレーツに在籍している。