漫画はやはり、あのページをめくる感覚がないと……と紙にこだわる方々もいるだろう。だが近年、「漫画はスマホで」というユーザーの数が一気に増えているようだ。
インプレス総合研究所が今年7月に発表した動向調査によると、2018年度の電子書籍市場規模は前年比26.1%増の2826億円、そのうち「コミック」は市場の84.5%を占め、前年比542億円増加の2387億円となった。
スマホの普及と技術の進化により、どこでも好きな時間に、手軽に漫画が読めるようになった。スマホの画面も大きくなり、紙の本で読むのとほぼ変わりがない感覚で読める機種も少なくない。
一概にデジタルコミックといっても、その種類は様々だ。ひとつは電子書籍を購入して楽しむ方法で、代表的な電子書店には「Kindle」、「ebookjapan」などがある。もうひとつ、WEBコミックサイトで連載される作品を楽しむという方法もある。
そして近年、ユーザー数の増加がめざましいのが漫画アプリだ。様々な出版社の人気作品を扱う「Lineマンガ」「ピッコマ」、出版社が運営する「少年ジャンプ+」「マガポケ」「サンデーうぇぶり」「マンガワン」といったアプリがある。いずれもiPhoneやAndroidの各アプリをインストールすることで利用できる。
これら漫画アプリが人気となっている理由のひとつは、無料で楽しめるコンテンツの充実にあるだろう。配布されるチケットやコインなどの無料アイテム、期間限定の無料公開作品、またアプリオリジナルの無料公開作品など、コンテンツを無料で楽しむ方法が充実しており、こうした仕掛けがユーザーの呼び水となっている。
ユーザーの増加の一方で、デジタルコミックについては近年、海賊版サイトが大きな社会問題となっている。2019年7月に運営者が逮捕された「漫画村」事件は記憶に新しい。こうした問題への対策として、出版9団体からなる出版広報センターでは、「STOP!海賊版キャンペーン」に力を注いでいる。2019年7月にはキャンペーン第4弾として「ABJマーク×人気キャラコラボ動画」を公開。「ABJマーク」とは、電子書店・電子書籍配信サービスが著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを表す登録商標だ。ABJは「Authorized Books of Japan」の略で、「正規の出版物」であることを示す。利用するサービスに違法性がないかどうか、マークの有無が利用の目安になる。
またアプリ自体がユーザーに向けて、海賊版問題についてユーザーにメッセージを発信する事例もある。前述の「マンガワン」はこのほど8月31日(土)0時から24時の24時間限定でアプリを無料開放するキャンペーン「マンガワン祭り」の実施を発表したが、同キャンペーンの中で海賊版問題に関する声明を発表する。
漫画はゼッタイ紙派!の方も、そうでない方も、これから迎える秋の夜長、寝る前のひとときに、デジタルコミックデビューしてはどうだろうか。その際には「ABJマーク」があることを確認してほしい。