DeNAと広島相手に2試合連続で完封負けを喫していた巨人が8月28日の広島戦では、坂本勇人の看板直撃2ランで逆転し、6対2で勝利。セ・リーグ優勝までのマジックナンバーを19に減らした。前日、大事を取って途中交代した坂本はこの日スタメン出場したものの、4点リードした7回表に増田大輝と交代。完全な状態ではない様子だ。野球担当記者が話す。
「巨人にとって、今季全試合出場の坂本が先発するかしないかは大違い。仮にスランプに陥ったとしても、守備面での貢献が計り知れないし、チームリーダーとしての役割も果たしている。丸佳浩が3番として安定した成績を残せてきたのも、『2番・坂本』が相手投手を疲弊させてきた影響もあるでしょう。これからも限界を超えない限り、騙し騙しでも使って行かざるを得ない」(以下同)
過去3年間、坂本がスタメンから外れた試合のチームは2016年7勝4敗1分、2017年0勝2敗、2018年15勝18敗1分。この3年の通算は22勝24敗2分と負け越している。
「昨年は左脇腹痛で7月17日から1か月強、登録を抹消された。当時、チームは勝率5割だったが、数試合後から6連敗を喫して優勝戦線から脱落していった。2016年は勝ち越していますが、途中出場もせず欠場した試合に絞ると3勝3敗。代打に控えているだけでも相手にプレッシャーを与える存在ですし、坂本の長期離脱だけは避けたい所です」
現在、巨人の内野陣は層が薄い。
「仮に坂本が欠場となれば、ショート・増田、セカンド・田中俊太、サード・若林晃弘という内野陣が形成されそうですが、いずれも打力に期待が持てない。開幕当初打ちまくったものの、腰痛で戦線離脱した吉川尚輝は未だに復帰の目処が立たないし、今季の新戦力の中島宏之、ビヤヌエバは2軍暮らし。今こそ、2人の奮起を期待したいところですが……」
計算上ではDeNAや広島が2勝1敗ペースで勝ち進んでも、巨人が5割を保てば優勝となる。
「原辰徳監督は“一戦必勝”を掲げていますが、全体を通して大型連敗だけは避けたいと思っているでしょう。同一カード3連敗をせず、捨て試合も作りつつ、もう少しマジックが減ればクライマックスシリーズを見据えて選手を大事に使っていくでしょう。そうなれば、坂本にも無理をさせないと思います」
今季、巨人が躍進した大きな理由の1つには、4年ぶりに復帰した原監督の絶妙な選手起用が挙げられるだろう。残り25試合、坂本の状態を考慮しながら他の選手の奮起を促す采配を見せられるか。