常に天皇皇后両陛下をはじめ皇室のかたがたの側にいて、お護りするのが、皇宮警察。あらゆるスキルを身につけた彼らがいてくれるからこそ、私たちは皇室の皆さまのお姿を拝見することができる。10月22日に迫ったご即位パレード「祝賀御列の儀」に向け、猛暑の皇居内で職務や訓練に励む、皇宮護衛官の一日に迫った。
灼熱の太陽が照りつける、皇居正門。静々と門が開き、凜々しい制服に身を包んだ2名の護衛官が現れ、それまで警備に当たっていた護衛官と、交代の儀式を行う。
英国バッキンガム宮殿の衛兵交代を思わせるような優雅な所作に、居合わせた観光客からため息が漏れる──。
彼らが所属するのは、皇宮警察。皇室守護を専門とする唯一の警察組織の護衛官たちだ。
皇宮警察の任務は多岐にわたり、皇居などの警備や、皇室のかたがたが外出する際の護衛はもちろんのこと、各国大使の護衛、行事の警備など、ありとあらゆる場面で、皇室をお護りしている。
皇宮護衛官は、皇居内にある全寮制の皇宮警察学校で心と体を鍛えてから実務に就くが、卒業後、護衛署に配属されてからもさらに研鑽を積み重ねる必要がある。夜勤を含む勤務の合間に自ら時間を作って、日々、道場で武道や馬術、バイクの練習に励んでいる。
皇宮警察が目指すのは、“絶対予防”。何事かが起きてから対処するのではなく、何も起きない平穏な日々を確保するのが、最も重要なのだ。
10月に迫った「祝賀御列の儀」では、皇宮護衛官が体を張ってパレードをお護りする雄姿も必見だ。
【白バイ・側車訓練】
白バイは機動力に優れ、側車は運転と警護を分けられるので、各自の仕事に集中できる。
「初出動は今年4月、ご退位の儀式のための伊勢神宮参拝。重要な場面にいられることが光栄で、緊張しつつも無事に任務を果たしました」(相良慎之介さん・27)
【儀仗勤務】
皇宮警察学校卒業後に必ず経験するのが、皇居各門を警備する立番。正門は儀仗勤務と呼ばれ、洗練された姿に憧れて皇宮警察に入ったという人も。
「国賓のかたも通るし、国民の目もあるので、身だしなみや立つ姿勢には気を使っています」(吉田輝己さん・20)
【騎馬訓練】
新任の外国大使が天皇陛下に信任状を捧呈する際の馬車列に加わるため、現在14頭の馬が飼育されている。
「去年、初めて信任状捧呈式で乗った時は親を呼びました。以来10回ほど乗っていて、100回乗るのが目標です!」(坂本亮太さん・30)
【武道訓練】
心身を鍛える武道は職務執行の基盤。防具を着けて行う剣道では“間合い”を、受け身が大事な柔道では“自らの身も守ること”を、弓道では“集中力”を身につけるため、日々汗を流す。
「警察官になりたいと調べていて、皇宮警察の存在を知りました。柔道をやることで肉体的にも精神的にも成長できている気がします」(安藤穂乃香さん・19)
※女性セブン2019年9月12日号