福岡ソフトバンクホークスの千賀滉大は、日本球界が誇る本格派右腕だ。今季も既にチームトップの11勝をマーク(8月27日現在)。5月には月間MVPにも輝いた。
「ホークスのエースは千賀」。これは多くのプロ野球ファンの一致した見解だろう。だが彼は現在、大きな苦悩の中で必死にもがいていた──。
「このままでは自分は終わっていく選手になってしまう……何も成長を感じられない1年でした」
話が昨シーズンの内容に及んだ時、最初は彼が何を言ってるのかよく理解できなかった。13勝7敗、防御率3.51。タイトルは獲得できなかったが立派な数字だ。日本シリーズでは勝利投手こそ逃したものの2試合に先発して試合を作っている。しかし、チームが日本一になろうとも、千賀はそんな結果では納得できなかった。
「何か変えなくてはいけない……何か行動を起こさなければいけない……相当焦っていました」
投手としての自分を根本から変える──。千賀はそのきっかけを、尊敬する先輩でもあるダルビッシュ有に求めた。シーズン中から連絡を取り合い、日本シリーズ終了後、すぐに米国へ飛んだ。
「ダルビッシュさんがどんなトレーニングをしているのか見せてもらって、『なぜトレーニングが必要なのか?』という部分から話を聞かせてもらいました。今の自分に足りないものについても相談して、自分なりにトレーニングについて研究するようにもなりました」