店舗数が6万店に近づき、“飽和限界説”が現実味を帯びつつあるコンビニエンスストア業界。これまで右肩上がりの成長を続けてきたビジネスモデルも変革を迫られる中、動きが激しいのが「ファミリーマート」だ。資本業務提携を結ぶディスカウントストア「ドン・キホーテ」とのコラボ店も実験営業中だが、果たして相乗効果は得られるのか。ジャーナリストの有森隆氏がレポートする。
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コンビニ業界ではいま、人手不足による24時間営業の見直し問題が噴出しているが、業界2位のファミリーマートは8月23日、東京都品川区でフランチャイズチェーン(FC)加盟店向けに、10月中旬に始める営業時間の短縮(時短)実験について説明会を開いた。加盟店オーナー約160人が参加し、報道陣にも公開された。
ファミマは6月に全国1万4848の加盟店向けに時短営業に関するアンケートを行い、FC加盟店の約半数の7039店が時短営業を「検討したい」と回答していた。そのため、6月から24店で時短営業の実験をしており、10月中旬~12月中旬に700店規模に広げて2次実験を行う。そして、2次実験の結果を検証し、12月以降に会社としての方向性を決める予定だ。
説明会終了後、澤田貴司社長は報道陣に、「本部として大きな損失を出さず、加盟店も納得できるオペレーションを作り上げていかなければならない」と語った。加盟店が本部に支払うロイヤリティーの見直し(=減額)は「現時点では考えていない」(澤田氏)という。
また、ファミマはもう1つの実験を行っている。ドン・キホーテとファミリーマートのコラボ店「ファミマドンキ」の営業である。
2018年6月、立川市の「立川南通り店」、目黒区の「大鳥神社前店」、世田谷区の「世田谷鎌田三丁目店」が、「ファミマドンキ」に衣替えした。商品をうず高く積む「圧縮陳列」などドンキのノウハウを全面的に取り入れ、多数のドンキの商品を導入。取扱商品を従来のコンビニ店舗に比べて1.5~1.7倍に増やした。
「ファミマドンキ」は2018年6月~8月までの実績しか出していないが、3店平均で売上高が3割増。売り場を拡大した日用品や菓子、加工食品は倍以上の伸びだったという。
売れ筋商品を分析したところ、ドンキ名物の「焼き芋」が販売金額ランキングで5位に入った。焼き芋は、専用の焼き芋機に生のサツマイモを入れ、60分加熱して提供している。「なぜ焼き芋が売れているのか」と記者に質問されたファミマの幹部は、「どうして売れているのかわかりません」と困惑した表情を浮かべた──と報じられた。