日韓関係が悪化するなか、韓国海軍は8月25日、島根県の竹島での軍事演習を始めた。イージス駆逐艦も初投入され、例年より規模は倍増。露骨な反日パフォーマンスの一環だが、さらに文在寅大統領が自ら、「竹島上陸」を敢行するシナリオまで現実味を帯びてきている。韓国問題に詳しい評論家・室谷克実氏はこう指摘する。
「日本固有の領土である竹島は韓国に不法占拠されている状況ですが、韓国側にとっては“第二次大戦後に日本から奪い返した島”と認識されており、『愛国心の象徴』です。
そのため、2012年に韓国大統領として初めて李明博氏が竹島に上陸した時は、低迷していた支持率が一気に9ポイントも上昇した。文氏が現在、置かれている状況は、当時の李氏とよく似ているので、同様の行為に走る可能性があります」
2012年当時は大統領任期が終わりに近づき、李明博政権がレームダック化していたことに加え、側近や実兄の金銭スキャンダルが発覚。国民の強い反発を招いていた。就任当初は親日路線だった李氏は、支持率を上げるべく一気に反日にシフトした。
文氏が就任当初から反日路線であるところこそ異なるものの、経済政策の失敗による格差拡大、北朝鮮への宥和政策の行き詰まりなどで国内の批判が相次いでいることに加え、ここにきて側近の娘の不正入学疑惑というスキャンダルが噴出。
「GSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄も、こうした醜聞によるさらなる支持率低下を防ぐためという側面がある。来年4月には韓国の総選挙もあるので、文氏は反日パフォーマンスをエスカレートさせるしかない。竹島上陸というカードは文氏にとって、非常に魅力的なのです」(同前)
2012年の李氏は直筆の文字を刻んだ石碑を設置した。文氏が竹島で何をするつもりにせよ、それで日韓の溝が深まることだけは確かだ。
※週刊ポスト2019年9月13日号