国内

刑事が変死体現場に向かう際に持参する検視七つ道具

変死体現場における刑事の心得とは?

変死体現場における刑事の心得とは?

 警察や軍関係の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回も前回に引き続き、刑事や警察官の検視に関わる仕事の実態を明かす。

 * * *
 内閣府には「死因究明等施策推進室」なるものがあり、死因究明の状況把握や推進活動を行っているが、広く知られてはいない。H24年には死因究明等の推進に関する法律が成立し、H26年には推進計画が閣議決定されている。その目的には、犯罪死による見逃し防止や亡くなった理由を知りたいという遺族の思いへの対応などがある。

 犯罪による死亡の可能性がある遺体は変死体とされる。犯罪による死亡と明らかにわかる犯罪死体の場合は、鑑識課の検視官が臨場する。だが、その数は全国的にも十分ではない。そのため変死体の検視は、所轄の刑事も行うことになる。警視庁の元刑事に、自身が経験した検視の現場について話してもらった。

「検視にはウエストポーチの臨場用カバンを持つ。中には七つ道具の透明のゴム手袋、マスク、ピンセット、綿棒、ペンライト、メジャー、温度計、頭や足のカバーなどが入っている。飛び散った血液は綿棒で取り、瞳孔の大きさ、外傷があれば傷が何センチか、遺体のある位置は柱からどれくらいかもメジャーで測る。ペンライトは性能がいいから、斜めに光をあてると靴跡が見えるんだ。刑事の腕章も現場では必須だ」

 ドラマなどで見る事件現場で作業する鑑識の姿と同じだが、今と昔では違いがあるという。

「今は病気があるかもしれないから遺体は素手で触るな!と言われていて、ゴム手袋をはめなければならないが、昔は遺体の体温や状態がわからなくなるから素手で触れ!と怒鳴られたものさ」

 刑事の時は、カバンに白手袋を常備していたというが、その時の癖で、今も仕事する机の中には白手袋が入っている。

「手袋だと不審物が送られて来た時に直接触らなくていいし、後々証拠になるような品に自分の指紋がついてしまうのも避けられる」

「検視では、着ていた服はハサミで切って脱がせ、身体全体に外傷がないか、アザや傷跡がないか確認し写真に撮る。左右の瞳孔の大きさを測り、首を絞められた時に見られる溢血点がないかまぶたをめくる。髪だけでなく陰毛の長さも測り、舌は状態を見てからリトマス紙をペタッとあてて毒がないか調べる。指紋を採って、肛門に体温計を入れて直腸温度を測り、事件性の有無を判断。検視官が臨場していなければ、これらを報告して死因を確認する」

 殺人や事件性の疑いがあり現場保存が必要な場合は、遺体を移動させず現場で検視。事件性がない時やその場で検視できない場合は、検案する病院や署の霊安室に移動させて行うこともある。

 首吊りの場合はそのままでは検視できないため、下ろさなければならないのだが、昔は、若い刑事が遺体を下ろす時、手練の刑事はコツを教えず見ているだけだったという。

関連記事

トピックス

大谷翔平(左)異次元の活躍を支える妻・真美子さん(時事通信フォト)
《第一子出産直前にはゆったり服で》大谷翔平の妻・真美子さんの“最強妻”伝説 料理はプロ級で優しくて誠実な“愛されキャラ”
週刊ポスト
「すき家」のCMキャラクターを長年務める石原さとみ(右/時事通信フォト)
「すき家」ネズミ混入騒動前に石原さとみ出演CMに“異変” 広報担当が明かした“削除の理由”とは 新作CM「ナポリタン牛丼」で“復活”も
NEWSポストセブン
万博で活躍する藤原紀香(時事通信フォト)
《藤原紀香、着物姿で万博お出迎え》「シーンに合わせて着こなし変える」和装のこだわり、愛之助と迎えた晴れ舞台
NEWSポストセブン
ドラマ『あなたを奪ったその日から』主演の北川景子(時事通信フォト)
《北川景子主演》“子どもの誘拐”がテーマの『あなたを奪ったその日から』は共感を呼べるのか? 名作『八日目の蝉』『Mother』との違いとヒットへの勝算
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが『あんぱん』にどハマり(HPより)
朝ドラ『あんぱん』は随所においしい“餡”が詰まっている! 河合優実、原菜乃華、志田彩良、市川知宏…出演者たちにもドラマあり
女性セブン
川崎
“トリプルボギー不倫”川崎春花が復帰で「頑張れ!」と声援も そのウラで下部ツアー挑戦中の「妻」に異変
NEWSポストセブン
最後まで復活を信じていた
《海外メディアでも物議》八代亜紀さん“プライベート写真”付きCD発売がファンの多いブラジルで報道…レコード会社社長は「もう取材は受けられない」
NEWSポストセブン
28歳で夜の世界に飛び込んだ西山さん
【インタビュー】世界でバズった六本木のコール芸「西山ダディダディ」誕生秘話、“夢がない”脱サラ社員が「軽い気持ち」で始めたバーダンスが人生一変
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
山口組がナンバー2の「若頭」を電撃交代で「七代目体制」に波乱 司忍組長から続く「弘道会出身者が枢要ポスト占める状況」への不満にどう対応するか
NEWSポストセブン
日本館で来場者を迎えるイベントに出席した藤原紀香(時事通信フォト)
《雅子さまを迎えたコンサバなパンツ姿》藤原紀香の万博ファッションは「正統派で完璧すぎる」「あっぱれ。そのまま突き抜けて」とファッションディレクター解説
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
NEWSポストセブン