9月3日付の官報告示で日本国籍取得が明らかになった横綱・白鵬と日本相撲協会執行部は、今後、どのような関係になっていくのか。その試金石となるのが「一代年寄」の問題だ。
白鵬の帰化を報じたスポーツ紙は各紙、〈相撲協会は著しい功績を残した横綱に対し、引退後に現役名のまま親方になれる『一代年寄』を授与する例がある。日本国籍取得を実現させた大横綱は、大鵬、北の湖、貴乃花に次いで一代年寄になる可能性も出てきた〉(9月4日付、スポニチ)といったかたちで言及。ただ、優勝回数などでは白鵬が過去の一代年寄の横綱たちを上回っているにもかかわらず、どのメディアもあくまで「可能性」と留保している。
「協会内では白鵬に一代年寄を与えないという意見も根強いのです。心技体の、『心』に問題があるという見方。一代年寄は20回優勝が目安といわれるが、協会としてはあくまで“著しく功績があった者”を条件としている。白鵬はこれまでにカチ上げや千秋楽の土俵下優勝インタビューでの万歳三唱や一本締めなど、素行・品格の面で繰り返し注意を受けてきた。そのマイナスが大きいと考えられます」(若手親方)
実際、今回の国籍取得の一報を受け、尾車事業部長(元大関・琴風)は「あれだけの大横綱。現役の第一人者として、周りが目指す、手本となる姿を見せてほしい」とし、芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「自分本位の行動は注意してほしい」とコメントを添えるなど、手放しで歓迎していない様子も窺える。
「白鵬はもともと、モンゴル国籍のまま一代年寄を襲名することを望んでいたが、結局これは叶わなかった。ただ、一代年寄そのものについては簡単に諦めないだろうし、優勝回数など数字の面では圧倒的な実績なのだから、何らかのかたちで世論を訴えようとすることも考えられる。今場所、白鵬がどんな言動をするか、関係者は注目しています」(ベテラン記者)
※週刊ポスト2019年9月20・27日号